妻時々愛人
「奥さまから電話です」


女子社員の言葉に宮野は驚いた。


佳苗から?


「もしもし」


宮野は受話器をとった。



「礼二さん」


「!?」


宮野は目を見開いた。


相手は佳苗ではなかった。


「理穂」


回りに聞こえないように小声で言った。


「驚いた?」


理穂は楽しそうに笑っている。


「か、会社の電話は勘弁してくれ」


「礼二さん、――今日は来てくれるでしょ?」


「・・・」


宮野は迷った。「今日は・・」


言い終わるより先に理穂が口を開いた。


「来てくれるの待ってるから」


宮野はそれ以上何も言えなかった。
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