妻時々愛人
佳苗は慌てて弁当作りを開始した。

「陽子、朝はパンでいい?」

「いいよ」

陽子は冷蔵庫から牛乳を取り出しながら応えた。

――宮野陽子、17歳。

高校2年生の普通の女の子である。

「ねぇ、ママ」

「なぁに?」

「今日、帰り遅くなってもいい?」

「どうしたの?」

「彼氏とデート」

陽子の言葉に、佳苗は手を止めて振り向いた。

「・・少しくらいならいいけど。――避妊はしなさいよ」

「なっ・・」

陽子は顔を真っ赤にして「ママのエッチ!」

「あら、最近多いでしょ、出来ちゃった婚。やめてよね。ママは嫌よ」

「・・・わ、分かってるよ」

陽子はべーと舌を出した。


「相原くんっていったかしら?」

「うん」

「今度連れてらっしゃいよ。会ってみたいわ」

「えー!嫌だよ」

「いいじゃない。どんな子なのか知っておかなくちゃ」

「マ、ママ。そんなことよりお弁当早く!」

「はいはい」

佳苗は焦っている陽子をみて楽しそうに笑った。


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