妻時々愛人
「・・・あなたは、あの女と一緒になりたいの?」
佳苗の問いに宮野は口を開いたが、言葉がでない。
「・・あなたの浮気を知った時、私――あなたを失いたくないって思った」
「・・・」
「だから、あなたの心を取り戻そうと努力したわ」
佳苗の言葉を、宮野は黙って聞いていた。
「今日・・・あの女と会って分かった。彼女、本気なのね。―――あなたはどうなの?」
「・・・」
「――これ以上あなたがフラフラ迷うなら、私はあなたと離婚するわ!」
【離婚】
佳苗の目は本気だった。
「俺は・・・」
宮野が言いかけたその時―――。
ダイニングのドアが開いて陽子が現れた。
「パパ、ママ・・・」
どこか、陽子の様子がおかしい。
「陽子、どうしたの?具合悪いの?」
「私・・・妊娠したみたい」