妻時々愛人
「礼二さん、電話・・奥さんから?」

シャワーをすませて出てきた理穂が訊いた。

ここは会社近くのホテル。


「・・ああ」

宮野は理穂に背中を向けたまま頷いた。

「後悔してる?」

「・・いや、してないよ」

宮野はそう言って振り向いた。

理穂はバスタオル一枚で立っていた。

「礼二さんも、早くシャワー浴びて会社に行かなきゃ」

「・・・」

宮野は立ち上がると理穂の手をとって自分の胸に引き寄せた。

「もう少しだけ・・」

理穂はニコっと笑って

「礼二さん。甘えん坊ね」とキスで応じた。



宮野が出社したのは、それから一時間後。

何事もなかったかのように振る舞う自分に正直驚いていた。


――妻以外の女を抱いた。

何十年振りだ?


新鮮だった。

妻とはマンネリ気味のセックスも、相手が違うだけでこうも変わるものなのか・・。

「宮野さん、何か良いことあったんですか?」

女子社員の言葉に宮野は驚いた。

「どうしてそう思うの?」

「なんだかイキイキしてるから」

宮野はハハっと笑って、

「イキイキか。そうかもしれないな」


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