わたしはあなたにときめいてます
〔外で食べます。 母の所に泊まります。 香澄〕
「送信……っと。
これでとりあえず、今日は帰らなくていいね……。
さて…これからどうしよう……」
暗い人気のない道をただただ歩いているわたし。
「職を失って…。家を失って…。
頼れる人を失って……」
『香澄さん』
「吉広さん……。花梨さんと別れないで下さいよ?
わたし…頑張りますから。
よし! まず、先の事より今日どうするかから考えよう。今日の夕食はコンビニのおにぎりで済ませて…」
「無理です!!!」
女性の大きな声がして、声がした方を見る。
「キレイ……」
すると、そこには目が大きくて、鼻が高い、ポニーテールの美人な女性が立っていた。
「身長高……。
モデルさんみたい……」
「英子。君が居ないと、撮影出来ないんだよ」
「そんな事言われても…無理!!!」
「撮影……」
彼女の周りを見ると、10名以上の人。
カメラを持っている人。
ライトを動かしている人。
化粧道具の側に居る人。
洋服を選んでる人。
「本当にモデルさんなんだ……。
すごい……もめてる……」
「英子……。出来るって言ったじゃないか!!!」
「出来るって思ったのよ!!!
でも…無理だったの!!!」
「英子……。もう一回…やってみないか?」
「やらない!!!」
「英子!!!」
「私を殺す気?
死んじゃうわよ!!!」
「死んじゃう?
一体どんな撮影を…」
「なら、撮影やめますか…」