わたしはあなたにときめいてます
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。

彼の目にとらえられてからのわたしの心臓は速さを増していく。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。

とまらない…。

彼が視界から消えれば、とまるはず。

でも…彼から目が離せない…。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。

どうして? わたしを見つめるの?

彼が動き出す。

ちょっと…。

彼はわたしを目にとらえたままわたしに向かって歩いてくる。

待って…。

一歩。

止まって…。

二歩。

来ないで…。

三歩。

どっか行って…。

四歩。

近づかないで…。

五歩。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。

わたしの心の叫びは届かず、すぐ目の前で足を止めた彼はわたしから目を一瞬たりとも離さず

「見つけた…」

へっ? 見…。

彼は何の前触れもなく、わたしの右手を奪い、わたしを引っ張っていく。

「あの、何ですか」

離して下さいよ!!!

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。

「女性モデルを見つけました…」

女性モデル……。


わたし?
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