わたしはあなたにときめいてます

ドクン。

つい…てる?

「行こうか…」

彼がわたしの右手をひいていく。

「待って下さい。顔が出るのは困ります」

嫌です!!!

「分かった…。
君の顔は出ないように写すよ…」

「そんな事出来るんですか」

広場の真ん中に置かれてある木のベンチの前まで来ると彼は立ち止まりそのベンチに座ると、見上げるようにわたしを見た。

「俺の言う事を聞けば…出来るよ…」

「本当」

トン。

えっ?

「動かないで…」

彼がわたしの左耳にそっとささやく。

「準備出来ました…」

「いいねぇ…。
じゃあ、行くぞー」

パシャッ。

動かないで?

今の…状態で?

握られてた右手を彼に引き寄せられて…。

「愛十くん。少し目線下にしようか」

パシャッ。

彼の右腕がわたしの背中に…。

「愛十くん。彼女をもっと強く抱きしめて」

抱きしめ!!!

彼の右腕に力が入る。

パシャッ。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。

無理!!!!!
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