わたしはあなたにときめいてます
つまり、わたしは…。

「で、名前は?」

「上野香澄です」

あっ…。下の名前まで言わなくて良かったよね?

堀尾さん、言ってなかったし…。

「香澄……」

ドクン。

呼び……捨て?

「おい! いきなり呼び捨てか?」

「手をつないだ…。抱き合った…。キスした…。一緒に寝た…」

「お前も俺と同じ事を…?」

「わたしの隣で勝手に寝てただけです。同じじゃないです」

全然、違います!!!

「確かに……。同じではないね…。
すまない……」

♪♪♪~。♪♪~。♪♪♪~。

「社長から電話だ。
もしもし。社長ですか? おはようございます…。
はい。はい。えっ?
はい……。分かりました……」

堀尾さんが愛十を見つめる。

「愛十……。お前……」

「そうだよ……。
した……」

「この子……じゃない……。
香澄……」

「呼び捨ては…ダメだ…」

「香澄…さん? なのか……」

「そうだよ……」

わたし?

「お前…何でそんな大事な事を一人ですぐに決めるんだよ!!!
俺はお前の何だ?」

「マネージャー…」

「そうだよ!! なのに俺に相談もなく…。俺に何で言わないんだよ!!!」

「相談は必要なかったし…。
俺が言わなくても…社長が言うしな……」
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