わたしはあなたにときめいてます
「どういう事ですか。わたしに何をしたんですか」

「左手の薬指…」

「左手。薬指」

嘘……。

左手の薬指を見ると、シルバーリングが光っていた。

「この指輪は」

「俺の母親の結婚指輪…。
試しにはめてみたら…ぴったりだった…」

「結婚指輪をはめたから、あなたと結婚したと」

「ブログに…のせたんだ……」

……ブログ?

「堀尾さん……。
スマホ貸してくれ……」

「貸すが、彼女は知らないのか?
知らないのに、どんなして結婚を…」

「借りる……」

愛十は堀尾さんが手にしていたスマホを取ると、スマホを操作する。

「俺のブログだ……」

愛十は操作が終わると、わたしにスマホを渡した。


そこには薬指に結婚指輪をはめられた女の左手と、その手を握る男の右手の写真…。

その下に書かれた〔一生君の側に居る〕の文字…。

ドクン。

コメント欄には〔結婚したんですね?〕〔結婚おめでとうございます〕〔幸せになって下さいね〕などほとんどが祝福のコメントばかりで溢れていた。

「俺達…結婚した事になってるだろ……?」

「否定すればいいじゃないですか」

結婚してないんだから…。

「否定したくない…」

否定したくない?

「わたしと結婚したいんですか」

「したい……。
本当に……」

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。
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