わたしはあなたにときめいてます

それからしばらくして、愛十の小刻みな両肩の震えが止まった…。

「洗顔してないんじゃないですか」

するはずだったのに堀尾さんが来てたから、してないでしょ?

それに……泣いたでしょ?

「行って来て下さい」

愛十がわたしからゆっくり離れる……。

……ドクン。

愛十の両目から涙がそれぞれこぼれ落ち……わたしをじっと見つめる。

「しっかり洗ったら、またわたしを抱きしめていいですよ。一生はダメです。堀尾さんが迎えに来るまで」


愛十はわたしに言葉を全部言わせてくれなかった。

愛十がわたしのパサパサになってた唇を全部食べてしまったから……。

「待ってて……」

愛十はそう言うと、部屋から出ていった。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…。

ヤバイ……。心臓が……。


わたし…彼の事……。

「香澄……」

やっ……。

洗顔から戻ってきた愛十がわたしに向かって走ってきて、わたしをベッドに押し倒した。

ドクン。

愛十がわたしを真剣な顔で見つめる。

「母さんの話……聞いてほしい……」
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