わたしはあなたにときめいてます

「吉広さんは最初にわたしに会った時…。
“不気味”だとか、“怖い”とか…思わなかったんですか?」

「そうですねぇ………。
私は最初から君が感情を出している所を見ましたから…」

102号室…。

『ここか…』

わたしは102号室のチャイムを押す。

天風(あまかぜ)さん…。

母の友達らしいけど、どんな人なんだろう……。

『はい』

……えっ?

男?

102号室から出てきたのは黒髪で銀縁の楕円形のメガネをかけた優しい雰囲気をまとった若い男の人。

『何か用ですか?』

言い方もすごく優しい。

『あの、102号室に住んでいる天風さんのお宅で当たってますでしょうか?』

『はい。
当たってますよ』

当たってるんだ。

『母の知り合いですか?』

母?

ああ!!

『そうです。わたしは上野と申しますが、母の友達の天風さんの家に世話になりなさいと母から言われまして』

『そうなんですか?』

『聞いてないですか?』

『はい。母は今海外出張で中国に居て、来年の7月にしか帰って来ないんです』
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