わたしはあなたにときめいてます
「吉広!! 居るんでしょ?
開けてよ!!!」

やっぱりこの声は…。


花梨さんだ。

「吉広さん……」

「香澄さん。
ここに居て下さい」

「でも…」

「大丈夫です。
君は私が守ります」

「吉広さん!」

吉広さんはわたしの頭に右手をそっとのせた後、わたしから離れて玄関のドアを開けた。

「私に何の用ですか?
花梨…」

「まだ居るの? あの子……」

「居ますよ…」

「どうして? 何でまだ居るのよ?」

「前にも言いましたよね?
母から面倒を見るように頼まれてるって…」

「いつまで面倒を見るの?

あの子今年で高校卒業して、働いてもいるんでしょ?
もう…いいじゃない」

「一人で暮らせると?
まだ働き始めたばかりですよ?
無理です…」

「私だってもう無理よ!!!
我慢の限界……」

「花梨……」

「どうして?
どうしてあなたは私を大事にしてくれないの?」

「大事に思ってますよ」

「嘘よ!!
あなたが今、大事に思ってるのはあの子だわ!! 私じゃない!!

私が…あなたの彼女なのに…」

花梨さん……。

花梨さんは吉広さんと3年ぐらいお付きあいしている方で、吉広さんの事が大好きだ。



そして、わたしの事が大嫌いだ。
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