今宵は遣らずの雨

あの夜の民部はもっと、寡黙でとっつきにくい性分であると感じていたのだが。

再び相見(あいまみ)えた民部は、ざっくばらんで屈託のない様子だった。


小夜里はいくら情を交わしたといえども、やはり一晩ではその人となりはわからぬものだ、としみじみ思った。


しかし、この屈託のなさにどこか馴染みがあるように感じて、ふと気づいた。


……我が子、小太郎の性分だった。

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