今宵は遣らずの雨
今、小太郎が藩道場に行ってくれていて、心の底からよかったと小夜里は思った。
民部に小太郎を見られるわけにはいかない。
あの一夜で小夜里が民部の子を孕み、密かに産んだ子が小太郎であることを知られてはならない。
なぜなら、民部には他国に、れっきとした妻がいるはずだからだ。
きっと子も、もうけているに違いない。
だから、小太郎は民部の子ではない。
……小太郎は、わたくしだけの子だ。
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