今宵は遣らずの雨

雨脚は衰えることなく、降り続いている。

やむなく小夜里は、座敷に民部のために床を取った。

まるで、宿屋の仲居のように「では、ごゆるりと」と云って、立ち上がろうとしたそのとき。

民部に腕を取られ、小夜里はあっという間に床の中へ引きずり込まれた。

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