今宵は遣らずの雨

民部は小夜里の着物の(おくみ)を襦袢ごと跳ね除け、あらわれた乳房を大きな手のひらですっぽりと包み、荒々しくまさぐった。

たちまち、乳房の突端が硬く勃ち上がる。

「……ぅう……んっ」

思わず漏れ出た小夜里の口を、民部は吸って塞いだ。

やがて、民部のくちびるはその荒々しい手の動きとともに、小夜里の身体(からだ)中を(くま)なく這っていく。


小夜里は居たたまれなかった。

子を一人産んだ身体には、若かったあの夜のような娘らしい線はない。

できれば見られたくなかった。

民部には、あの夜の、まだ初々しさを残した身体のままの小夜里で、覚えていてほしかった。

< 117 / 297 >

この作品をシェア

pagetop