今宵は遣らずの雨

日が経つにつれて、小夜里はなんだか、民部とは本当(まこと)の「夫婦(めおと)」のような心持ちがしてきていた。

昔、祝言を挙げた本当の夫との暮らしでは、ついぞ味わうことができなかった「仕合わせ」が、民部との暮らしには確かにあった。


小夜里の身も心も……民部のものだった。

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