今宵は遣らずの雨

◇第十一話◇


その夜半、小夜里は宮内少輔(くないしょうゆう)()むことなく抱かれ、夜明けになっても眠らせてもらえなかった。

そして、いつも出仕する明け()つになっても、まだ(ねや)から解き放してくれずにいた。

さすがに、下働きのおみつ(・・・)が通う(とき)が近づいてきたので、小夜里は布団から身を起こした。

だが、すかさず宮内少輔が覆い(かぶ)さり、小夜里を押し倒す。

「……旦那さま、堪忍してくだされ。
まもなく、下働きの娘が参りまするゆえ」

小夜里は、夜通し抱かれてぐったりと重疲れした身体(からだ)(よじ)った。

一晩中、()かされたために声も(かす)れている。

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