今宵は遣らずの雨

小夜里が振り向くと、着流し姿で懐手(ふところで)をした宮内少輔が立っていた。

表が騒がしくなったので目が覚めたのであろう。

寝間から起きてきたのだ。


突然、奥の部屋から姿を現した、見知らぬ男を見て、小太郎の口がぽかんと開いた。

その小太郎を、宮内少輔がじっと凝視している。

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