今宵は遣らずの雨

目を丸くして自分を見上げるその顔に、

「母を護りたいか」

と再び訊く。

しっかりと肯くのを見届けると、

「相手をしてやろう」

そう云って、それから数日間、みっちりと稽古をつけてやった。

我が血をひくからであろう。筋が良かった。

< 165 / 297 >

この作品をシェア

pagetop