今宵は遣らずの雨

おなごに読み書きなど不要のものである、という考えは露ほども疑ってなかったが、娘にはこの女師匠が必要だと痛み入った。

「……お師匠、娘のこの姿に免じて、どうか、ここへ通わせてつかぁさい」

とうとう、父親も頭を下げた。

小夜里は正式におりん(・・・)の師匠となった。

< 20 / 297 >

この作品をシェア

pagetop