今宵は遣らずの雨

兵部少輔によって、初音のだれにも開かれたことのない脚が、あられもなく左右に押し広げられる。

その直後、間に挿し込まれる重さと、そして加わる痛みに耐えかねて、初音の背中がしなる。

先刻(さっき)までの甘い吐息が、唸り声になっていた。


「……初音、痛いか……もう少しで、全部挿入(はい)るからな」

今度は兵部少輔の方が、甘い声になっていた。

初音の両目から溢れる涙を、舌でぺろりと掬ってやる。

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