今宵は遣らずの雨
されていることは、兵部少輔と変わりがないはずだった。
なのに、たった今、湧玄がしていることは初音にとって気色悪い以外の何物でもなかった。
胃の腑から吐き気が込み上げてくるほどだった。
人形のような初音に対して、湧玄の方はどんどん荒い息になっていく。
初音の身体じゅうに唇を這わせようとしていた。
おめでたい湧玄は、初音が生娘だと信じて疑わなかった。
この期に及んでなかなか思うままにならないのは、そのせいだと思っていた。
だが、初音の脚の間に指を差し入れたとき、するりと挿入っていったため、目を見開いた。
……いつの間に、男を通した?
しかも、男を知った身体にもかかわらず、そこは乾いたままだった。
……これだけ、可愛いがってやってるのに?
親の金にあかして、十代の頃、岡場所通いをしていた湧玄は、どんなおなごでも満足させる自信があった。
カッ、と頭に血が上っていくのを感じた。