今宵は遣らずの雨

湧玄が引きちぎるように下帯を取った。

そして、初音の両足を荒々しく左右に広げた。

もう、遠慮はなかった。


「……や…やめてくだされ……っ」

必死の思いで、初音はやっと声が出た。

だが、その言葉は湧玄をさらに助長させた。

「男を知った身体のくせに……おれには身体を開けてねえって云うのかっ」


初音が最後の気力で身体じゅうをばたつかせると、湧玄の手が飛んできて、左頬をぱーんっと(はた)かれた。

一瞬のうちにして、口の中で血の味が広がった。

左頬がじんじんして、一気に身体じゅうの力が抜けた。

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