今宵は遣らずの雨

引き受けるとなると、今まで通ってくれていた女の子たちが(いや)がって来なくなる(おそ)れがある。

小夜里は、父親の傍らでちょこんと座っている、まだ(とお)に満たない男の子を見た。

見慣れぬ部屋を、ものめずらしそうにきょろきょろと見渡している。

それに気づいた父親から、時折(ときおり)頭をぱしりっと(はた)かれていた。

「狼藉」を働く、と云うが、小夜里の目にはその一太(いちた)という子どもがとても乱暴をするような者には見えなかった。

とりあえず、しばらく通わせて様子を見ることにした。

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