今宵は遣らずの雨
引き受けるとなると、今まで通ってくれていた女の子たちが厭がって来なくなる惧れがある。
小夜里は、父親の傍らでちょこんと座っている、まだ十に満たない男の子を見た。
見慣れぬ部屋を、ものめずらしそうにきょろきょろと見渡している。
それに気づいた父親から、時折頭をぱしりっと叩かれていた。
「狼藉」を働く、と云うが、小夜里の目にはその一太という子どもがとても乱暴をするような者には見えなかった。
とりあえず、しばらく通わせて様子を見ることにした。