今宵は遣らずの雨
「『過ち』と云えば、孔子先生はこうも云うておられますな」
懐手をした玄丞はそう云って、諳んじた。
「子曰はく『君子、重からざれば則ち威あらず、学べば則ち固ならず、忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ、過てば則ち改むるに憚ること勿かれ』と」
孔子のまた違う弟子である学而が書き留めた部分「子曰、君子不重則不威、学則不固、主忠信、無友不如己者、過則勿憚改。」だった。
……君子は堂々としていないと威厳がない。
書を読んだり師に教えを乞うことによって、頑固さがなくなる。忠義を尽くして信頼を得られることを基本としろ。自分に値しない者は友とするな。誤りを犯したときには、それを改めることに躊躇うな。
「君子の心得」である。