今宵は遣らずの雨

「……小夜里どの」

玄丞からまっすぐに見据えられる。

「小太郎が我が道を決めたあとは、そなたはどうなさるおつもりか」

小夜里の目が見開く。


今は、ただ、一日一日が精一杯で。

なにも考えられなかった。

それに、まだ、小太郎は数えで七つだ。


きっと、顔の色に出ていたに違いない。


「子というものは、思った以上に(はよ)う親から離れるものでござるよ」

玄丞からそう云われて、小夜里は目を伏せた。

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