婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「本当に瑠璃は想像力豊かだよね。あれは結構傷ついたな」

「……はい、すみません」

またペコリと頭を下げ、玲人君の顔色を恐る恐る窺う。

「罰としてお昼奢って」

少し意地悪な顔で言うと、玲人君はポンと私の頭を軽く叩いて歩き出す。

「あっ、待って。どこに食べに行くの?」

慌てて彼を追いかけ、横に並んで歩く。

「このビルの裏に中華粥のお店がある」

「中華粥かあ。胃に優しそう」

私が病み上がりだからだな、きっと。

「財布忘れずに」

わざと厳しい顔でそんな注意をしてみせるが、実際には彼が私のランチ代も払った。

何だかんだ言っても優しいんだよね。

婚約者としてではなく、ちゃんと愛されてるって自惚れてもいいのかな?

ランチが終わって秘書室に戻った私はとってもご機嫌だった。



その日の三時過ぎ、秘書室の郵便ボックスに届いた郵便物の仕分けをしていたら、おじさまと玲人君とともに八雲物産の社長が現れた。
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