婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「栗田さんについてはその心配は無用ね。副社長、他の女の子には目もくれないし、冷たい人なのかと思いきや、栗田さんだけには甘いもんね」

松本さんはウフフと含み笑いをする。

「いや、そんなことはないですよ。父よりも副社長の方が厳しいです」

「私もあんな美形なら厳しくされてみたい!」

「じゃあ、担当変わります?」

真顔で言えば、松本さんは苦笑した。

「言ってみただけだから、本気にしないで。でも社内には副社長のファンがたくさんいるから気をつけた方がいいよ」

松本さんが珍しく真剣な顔でそんな忠告をしてくる。

「はい」とは返事をしたものの、どう気をつけていいのかわからなかった。

人を好きになる気持ちなんて誰にも止められない。

陰口を言われても、彼が誰かに告白されても、私はじっと我慢するしかないのだ。

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