婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「無茶ぶりしないでよ〜!」

顔を真っ赤にして彼の胸をとんと叩くと、彼は私を胸に抱き寄せ甘い声で囁いた。

「昨日は途中でやめたけど、そのうち瑠璃を頂くから、覚悟しておいて」

彼のセリフに心臓が止まる。

エレベーターが受付のある六階に着くと、彼は私を離した。

「今日も遅くなりそうだから先に寝てていいよ」

そう言葉をかけられたが、私は動揺しまくりで「あっ……うん」としか言えなかった。

ひとりエレベーターを降りて、後ろを振り返ると、彼と目が合った。

優しく微笑むその深緑の瞳。

きっと私がこんなに気が動転しているなんてお見通しに違いない。

彼が小さく頷いて、エレベーターの扉が閉まる。

「今の宣言は何?」

自問自答しながら胸に手を当て、壁に持たれかかった。

玲人君の落とした爆弾に頭は大混乱。
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