婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
彼はそんなことしないな……と考えていたら、小鳥遊さんが血相を変えて現れた。

「瑠璃ちゃん、大丈夫か?そもそもなんでここに?」

「だ……大丈夫です。ちょっと従兄に連れて来られて……」

あまり心配をかけたくなくて、それだけ伝える。

「『従兄』?」

小鳥遊さんが怪訝そうな顔をすると、玲人君が冷淡に補足説明した。

「栗田百貨店の専務の栗田拓海ですよ」

「ああ。あいつか。瑠璃ちゃんの従兄だから知ってると思うけど、あれは女遊びも派手だって噂だし、近づかない方がいいよ」

小鳥遊さんも、拓海さんが嫌いなのか顔をしかめる。

温厚な彼がこういう反応するんだもん。

きっと拓海さん、何かやらかしたんだろうな。

「はい。気をつけます。玲人君、ごめん。私、ひとりで帰るから下ろして」
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