婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
優し過ぎる上司の言葉に、目が涙で潤む。

それから、玲人君にホテルの部屋に運ばれた。

そのままベッドに連れて行かれそうになって、彼のスーツの袖を強く掴んだ。

「私……シャワー浴びたい。下ろして」

「お酒飲んだんだよね?どんだけ飲んだの?」

玲人君は私を下ろすと、じっと私を見つめてくる。

その目は飲酒したかどうかじゃなく、飲酒の量を聞いている。

匂いでお酒飲んだのはわかるのだろう。

彼の追及に、言うのを躊躇った。

きっと怒られるだろうな。

先日もしゃぶしゃぶ店で寝ちゃったし……。

「シャンパンとワインが……二杯か三杯」

嘘をついても彼にはバレる。

正直に言えば、彼は数秒沈黙した。

長年の経験から言うと、これは多分怒りを抑えているのだろう。

ハーッと深い溜め息をつくと、彼は沈黙を破った。
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