婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
身体が弱いから、いつも旅行は避暑地だったんだよね。

空港からタクシーでホテルに向かえば、断崖の縁にまるで要塞のような巨大な壁が見えて来た。

「あそこが今日泊まるホテルだよ」

大きな門を抜けてタクシーはホテルの正面玄関前に停車する。

敷地が広大なのか、カートが何台も置かれていた。

タクシーを降りると、建物の周囲にラグーンがあってカラフルな熱帯魚と海亀が優雅に泳いでいる。

水族館好きの私にはたまらない光景だ。

「うわぁ、ホテルの敷地内なのに、海亀がいるよ!」

興奮して玲人君の腕を引っ張って、ラグーンに近づく。

「朝、餌やり出来るみたいだよ」

「ホント?明日、絶対早起きする!」

ギュッと拳を握って宣言した。

「あまりはしゃぎ過ぎて熱出さないでね」

玲人君の注意にハハッと苦笑する。

確かに……。
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