婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
彼の胸に顔を寄せるフフッと笑う。

パン、パン、パンと上がる花火が空で輝いて私達の顔を照らした。

玲人君が私に顔を近づけて、口付ける。

すると、今まで大きく聞こえていた花火の音が急に小さく感じて……。

この世に玲人君と私のふたりしかいないんじゃないかって思えた。

張り詰める空気。

重なり合う唇。

目を閉じて彼のキスに応える。

もう私はこの甘い唇をよく知っている。

現実の世界のはずなのに、夢の世界に感じるのはなぜだろう。

幸せ過ぎるからかな?

「瑠璃」

大好きな人が私の名を呼ぶ。

その声で目をゆっくり開ければ、彼が私の瞳を覗き込んできた。

熱を帯びた彼の深緑の双眸。

「好き……」

その瞳も、彼自身も……。

「世界で一番好き」
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