婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
でも、決して気まぐれなんかじゃない。

「あの……小鳥遊さん、データ入力の続きやっていいですか?」

自分の責任を果たしたくて、彼に申し出た。

昔よりは身体は丈夫になったし、もっと頑張れるはず……。

ううん、頑張らなきゃ!

「今日は疲れてるだろうし早く帰ったら?」

小鳥遊さんは私を気遣うが、首を横に振る。

「大丈夫です。終わったら帰りますから」

ニコッと笑顔を作ると、彼は”仕方ないな”って顔で渋々オーケーしてくれた。

八時を過ぎても仕事をしていたら、フラッと玲人君が秘書室にやってきて、私を見た。

「まだいたんだ。コーヒー持って来てくれる?」

私に頼んで彼はまた副社長室に戻る。

「内線で頼めばいいのにな。栗田さんが心配で様子見に来たんだよ。さっきチャットで【栗田さんまだ仕事してるよ】ってあいつにメッセージ打ったんだよね」

ニヤリとして、小鳥遊さんは私をからかう。

「私が心配だなんて違いますよ!」

強く否定すると、席を立って、玲人君にコーヒーを淹れる。

コーヒーをトレーに乗せ、副社長室にノックして入ると、玲人君はパソコンと睨めっこしていた。

「ここに置いておきますね」

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