婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
代わりに拓海さんが玲人君に説明する。

「何でもない。少しからかったら驚いただけだ。これ、こいつの落し物」

拓海さんの声にビクッとなるも、気になって恐る恐るそちらに目を向ける。

彼がスナック菓子の入った袋を差し出していたが、怖くて私は受け取らなかった。

空気を察して玲人君が代わりに受け取るが、礼は言わない。

「俺の警告忘れてませんか?」

玲人君は拓海さんに絶対零度の眼差しを向けるが、拓海さんはしれっとした顔で惚ける。

「なんだったっけなあ。最近、物忘れがひどくてな」

「ひどすぎますね」

チクリと拓海さんに嫌味を言うと、玲人君は私の肩を抱いたまま、部屋に戻った。

「あの男に何された?」

玲人君は私と向き合うと、両肩に手を置いて聞いてきた。

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