婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「座って下さい。立っているのお辛いでしょう?」

「瑠璃ちゃんは優しいな」とお祖父様は目を細めて微笑むと、ゆっくりと腰を下ろした。

「仕事の方はどうかな?」

おじさんの質問に、笑って答える。

「大変ですけど、玲人君や小鳥遊さんがいるので、なんとかやっています」

「そうか。最近は、熱で寝込んだりはしていないか?」

私を気遣う彼の言葉を嬉しく思いながら、ニコッと笑ってわざと声を潜めた。

「大丈夫ですよ。元気にしています。ここだけの話、毎日廊下走ってますから」

秘書としては褒められたものではないのだが、業務にアタフタして廊下を走り回るうちに、体力もついてきた。

もちろん、週末は玲人君とジムに通っているお陰もある。

「それは良かった。誠君が最近大変だったと……⁉︎」

「会長、こんなところで油を売っていたんですか?」

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