婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました

「や、やめて下さい！」

父がマスコミに騒がれて、警察に逮捕されるところなんて見たくない。

「父は……いくら着服したんですか？」

「ざっと一億」

「一億も？」

拓海さんの言葉を聞いて絶望的になった。

私の持ってる貯金なんて一千万にも満たない。

私の力だけでは、この問題は解決出来ない。

ああ〜、どうしたらいいの？

「一億じゃあ、すぐに返すってわけにいかないよなあ。だが、俺なら貸してやれるぞ。不動産だって持ってるしな」

拓海さんは自慢げに言う。

確かに彼は叔父さんの遺産を受け継いでいるし、大金も持っているかもしれない。

「本当ですか？」

すがるように拓海さんを見れば、彼はどこか意地悪な目をして言う。
「但し、金額が大きいし、ただでは貸せないな」

「じゃあ、どうすれば貸してもらえるんですか？」