婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
何とか父を守りたくて、藁にもすがる思いで彼の助けを求める。

「お前、俺の愛人になれ」

拓海さんが言い放った言葉に、唖然とする。

私をからかうのもいい加減にして欲しい。

「はあ?真剣な話をしてる時にふざけないで下さい!」

拓海さんを怒るが、彼はニヤニヤしながら反論した。

「ふざけてなんかない。昔からお前のことは気に入ってたんだ。九条の御曹司なんかにやるのは惜しい。俺の愛人になれば可愛がってやるぞ」

「愛人になんかなりません」

彼を睨みつけ、はっきり断る。

「じゃあ、大事な婚約者様に一億借りるか?」

玲人君に借りる?

そんなの絶対にダメ。

彼にも、九条の家にも迷惑はかけられない。

これは栗田家の問題だ。

何とかして私だけで解決しなければ……。

「”父が不正をしたのでお金を貸して下さい。”お前、あの完全無欠の婚約者にそう言えるんだな?」
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