婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
力が抜けて床にヘナヘナと崩折れる私。

彼の話が信じられなかった。

まるで悪夢を見ているようだ。

絶望的なこの状況。

私が拓海さんの愛人にならないと、父は告発され、逮捕されてしまう。

そうなったら、九条家にだって、玲人君にだって多大な迷惑がかかってしまう。

回答の期限は明日まで。

私の取るべき道はひとつしかない。

でも……拓海さんの愛人になんかなりたくないよ。

玲人君を裏切るなんて出来ない。

なんで……こんなことになっちゃうの?

せっかく玲人君と思いが通じ合って、これから幸せな日々が続くと思っていたのに……。

神様は意地悪だ。

「瑠璃?どうした?」

突然玲人君の声が聞こえて、ハッとなる。

拓海さんにもらった名刺をサッとジャケットのポケットに入れると、すぐに立ち上がった。

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