婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「はは。ちょっとヒールが高くて転んじゃって」

から笑いして誤魔化すが、玲人君の顔は見れなかった。

でも、彼の視線を強く感じる。

玲人君は私をじっと見ているに違いない。

「『栗田百貨店の専務が来て栗田さんを人気のないところに連れて行った』って佐藤さんが俺を呼びに来たけど、あいつに何かされた?」

佐藤さんが私を心配して玲人君を呼んでくれたのか。

さっきの話彼に聞かれた?

でも、私に『あいつに何かされた?』って質問してきたってことは、聞かれてないってことだよね?

「……璃、瑠璃?」

玲人君に名前を呼ばれて咄嗟に顔を上げ、苦笑しながら聞き直した。

「あっ、ごめん。なんだっけ?」

玲人君は訝しげに私を見て、私の頰に手を添えた。

「あいつに何かされた?」
< 210 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop