婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
そんな話を聞いても全然喜べなかった。

明日からなんて……。

心が沈み、不安に襲われる。

本当に彼の愛人になるんだ。

玲人君に対して罪の意識を感じずにはいられない。

彼はあんなに私を大事にしてくれるのに、私は彼を裏切って、拓海さんに自分の身体を売るのだ。

一億でーー。

【場所は明日連絡する】

「はい」

機械的に返して通話を終わらせると、スマホをバッグに入れた。

もう玲人君の側にはいられない。

明日、あの家を出よう。

そう決めると、彼とあの家で過ごした日々が洪水のように頭の中に溢れてきた。

お風呂で寝ちゃったり、熱出して彼に看病してもらったり……、彼がフレンチトースト作ってくれたり……、一緒にソファでDVD観たり……。

ああ、私……玲人君にすごく愛されてたんだな。

彼はいつだって私を守ってくれて、私のことを一番に考えてくれてた。
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