婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
彼ほど私を愛してくれる人はいない。

なのに……。

涙がスーッと頰を伝る。

その時、ポツポツと大粒の雨が降ってきた。

周囲にいる人はみんな傘をさす。

そう言えば、天気予報で雨降るっていってたっけ。

雨は一気にザーザー降りになり、私はずぶ濡れになった。

雨……。

高一の時、玲人君に婚約解消していいって言われた時も、こんな激しい雨が降ってた。

あの時は、この世の終わりだって思うくらい落ち込んだ。

でも、今が私にとって不幸のどん底。

一筋の光も見えず、闇の道が延々と続くだけ。

その道を私は今からひとりで歩いて行く。

もう私の人生に幸せなんて一生こない。

真っ暗だ。

どこをどう歩いていたのかわからない。

どれくらい時間が経ったのかも……。

会社を出た時は外は明るかったのに、今はすっかり暗い雲に空は覆われ、冷たい雨が降っている。
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