婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
……もう九時。

だから玲人君がいるのか。

「ごめん。玲人君濡れるからいいよ。下ろして」

疲れた声で頼むが、彼は下ろしてくれない。

「俺はいい」

短く言い捨てて、私をバスルームに運ぶと私を下ろした。

「お風呂に入って身体をあっためるんだ」

「うん」

小さく返事をして服を脱ごうとするが、服は濡れているし、手はかじかんでボタンが外せない。

見かねた玲人君が無言で私のブラウスのボタンを外していく。

寒くてブルブル震え出す身体。

結局、下着を脱ぐのも彼が手伝ったが、恥ずかしいと思う感情も湧いてこなかった。

無気力というか、もう自分がどうなっても気にならなかった。

お風呂にすぐに入れられて身体があったまるも、もう何もする気にはなれない。

ボーッとお風呂のお湯を見つめる私。

私の濡れた服を片付けた彼がドアを開けて様子を見に来た。
< 220 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop