婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
湯船の縁に頭を預けていたら玲人君は「また寝ないでよ」と注意して私の髪をシャンプーで洗い出す。

でも、瞼が重くなってきて、彼に声をかけた。

「玲人君」

「ん?何?」

私の髪をゴシゴシ洗いながら彼はチラリと私に目を向ける。

「ありがと」

今までずっと一緒にいてくれて。

言えない言葉は胸の中でそっと呟いて彼に感謝の気持ちを伝えた。

「なに突然?」

少し驚く彼。

「いつもお世話させちゃって悪いって思って」

「小さい頃から瑠璃の面倒はみてるし、慣れてるよ」

機嫌が治ったのか、私の髪を洗い流し、彼はフッと微笑した。

「玲人君って良いパパになれるよ」

クスッと笑ってお風呂の天井を見て微睡む。

本当に今までありがとう。

玲人君との思い出をもらって、私は明日この家を出るよ。

素敵な人を見つけて幸せになってね。
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