婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
弱ってる時に行ってもみんなに迷惑をかけるだけかもしれない。

「皆勤賞狙ってたんだけどな」

がっかりしながら呟いて、ハッとする。

何言ってるんだろう私。

今日、彼の前から姿を消すのに……。

それは、つまり会社も辞めるということだ。

自分なりに必死に頑張ってきたのに、ここで投げ出すなんて嫌だけど仕方がない。

彼との婚約を破棄するのに、そのまま九条で働くことなんてできないよ。

「そう落ち込まない。瑠璃にまた肺炎で入院されたら俺が困る」

「……ごめん」

「楽しいことを考えよう。お盆休みまでちゃんと仕事頑張ったらまた宮古島連れて行ってあげるよ。瑠璃、気に入ったみたいだしね」

優しい目でそう言って玲人君はウィンクする。

宮古島……かあ。

GWに行ったばかりなのに、ずいぶん昔のことのように思える。

「行けたらいいね」
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