婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
14、不意打ちのプロポーズ
「う……ん」

目を開けると、ベッドの上のサイドテーブルにおにぎりと解熱剤、そして私のスマホが置かれていた。

どうやらまた眠ってしまったようだ。

「今……何時?」

ベッドから起き上がって目覚まし時計に目をやると、もう午前十一時を回っていた。

こんな時間なら当然彼は会社にいるはず。

「最後に”行ってらっしゃい”って言えなかったな」

ベッドを出てバスルームに行く。

さっと洗顔と歯磨きをして洗面台の鏡を見ると、目の下に隈が出来ていた。

「酷い顔」

この顔を最後に玲人君に見られたのかと思うと泣けてくる。

最後くらいニッコリした顔でいたかった。

寝室に戻ると、彼が作ってくれたおにぎりに目を向けた。

一緒にメモが添えてある。

【全部残さず食べるように】

玲人君らしい。

食欲はないけど、彼が作ってくれたのだ。

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