婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
拓海さんにも両親には何も話さないように口止めしなくては……。

他にもやらなければならないことがたくさんある。

リビングに行き、引き出しを開けて便箋と封筒を取り出すと、スマホで調べながら退職願を書いた。

失敗ばかりだったけど、もっとあそこで仕事をしたかったな。

私の都合で勝手に辞めることになり申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

結局、お嬢様の気晴らし。

そうみんなに思われても仕方がない。

普通は何か特別な理由がない限り、自分が辞める一ヶ月前に上司に知らせるのが社会人としての常識。

仕事の引き継ぎなどが必要だからだ。

だが、皮肉にも私がいなくなっても秘書室の人間は誰も困らない。

私の存在なんてそんなものだ。

まだ会社の歯車でもない。

退職願を書き上げて封筒に入れると、次は玲人君への手紙を書き始めた。
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