婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
私が席に着くと、拓海さんはシャンパンを頼んだ。

ウェイターがすぐに持ってきて、シャンパンをグラスに注ぐ。

拓海さんは、グラスを掲げニヤリとした。

「楽しい夜に」

私は無言でグラスを手にすると、乾杯はせずにシャンパンを一気飲みする。

酔いたい気分だったんだ。

いつもならシャンパン一杯でほろ酔い気分になるのに、今夜に限って全然酔わない。

どうしてなの?

苛立ちながらドリンクのメニューに目を向ける。

「ワイン、頼んでいいですか?」

「俺は飲むが、お前はやめておけ。また気分が悪くなっては興醒めだからな」

拓海さんは淫靡な笑みを浮かべる。

その後前菜やパスタが運ばれてきたが、皿をつついただけで、あまり口にはしなかった。

「デザートはどうする?」

拓海さんが聞いてきたが、私は頭を振る。


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