婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
出来るだけ先延ばしにしたい。

「あの……すみません。シャワーを」

二の足を踏む私の両肩を掴んで、彼は私をベッドに押し倒した。

勢いでズシンと軋むベッド。

心臓がドッドッドッと大きな音を立てた。

目と鼻の先に拓海さんの顔がある。

「シャワーなんて後で浴びればいいだろう?食後の運動といこうじゃないか」

彼の目が妖しく光る。

その目を見て身体が震え出した。

どうすればいい?

もうこうなってしまったらどこにも逃げられない。

抵抗しようにも、拓海さんに腕を掴まれていて無理だ。
恐怖が私を襲う。

彼は馬乗りになると、私の上着に手をかけて脱がそうとした。

「玲人君〜‼︎」

助けて!

ギュッと目を閉じて、来るはずがないのに愛しいあの人の名を叫んだ。

すると、バタバタと足音がして……。

「そこまでだ!」
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